知っておきたい境界標設置と管理
専門家という話
土地家屋調査士である私は、先日電話で「境界の紛争があるので、次
の日曜日に現地を調査して欲しい」という依頼を受け、約束の時間に現
地に赴きました。
階段状に造成された土地の上側に住む年輩の女性の方が依頼人で、某
県の中学校の教師をしているため、都合のよいのは土曜日と日曜日のみ
とのことでした。
さて、紛争の原因ですが、依頼人の下側の隣接人が宅地の擁壁の基礎
の部分を削って車庫を造り始めたというのです。
そこで、隣接人に対し越境していると申し入れたのですが聞き入れてくれな
いので、警察署へ行って話をしたところ、2人のお巡さんが来て傾斜してい
る石垣に板を添わせて延長し、「ああだこうだ」と言って半日くらい粘ってい
ましたが結局は結論が出ないまま帰ったそうです。
そこで今度は、市役所の市民相談室に行って理由を話したところ、
「警察で駄目なら弁護士に相談されるのが一番よいのではないですか」
と言われ、仕方がないので友達やら知人に相談している内に2か月も過
ぎてしまったそうです。その間に工事は進行するやら、学校は休まなく
てはならないやらで、イライラしながらやっと弁護士事務所を探して相
談したところ、「土地家屋調査士さんに境界を調査してもらいなさい」
と言われ、職業別電話帳を調べて、私に依頼されたということでした。
ではということで、前もって登記所で調べておいた地積測量図により
現地に残っている境界標を基準に、問題となっている境界点を復元して、
その場で双方に立会いを求めたところ、双方共に納得されて、一件落着
となりました。これらに要した時間は 実質2時間程度です。
考えてみますと、初めから土地家屋調査士事務所を訪ねて、相談や依頼
をいただいていれば、こんなに長い間、いやな思いをせずにすんだはずです。
境界については土地家屋調査士が専門家と言われているゆえんです。
■餅は餅屋、境界標は調査士■